「ところで、カナ、結局お前はこれからどうする気なんだ?」
「どうするって、そりゃ撫子様に会いに行くのよ。リョウにもそう言ってたでしょ?」
「そうなんだが、そうじゃなくて……」
「ようするに、撫子様はもう魔法国にはいらっしゃらないんですよ。そこをどうするかということを御主人様は聞いているのですよ」
「あ」
先程君楊が言っていた台詞を思い出した。『魔術を使った気配。行き先は貴族国』。
目的となる人物が居なければこれ以上ここにいても意味は無いのだ。けれども幸いなことにその人物が今何処にいるかを知ることが出来ている。
「き、貴族国へ行かなきゃ!」
誰に言うでもなくカナが杖を握りしめた。
「……どうやって?」
すかさず返ってくるのは冷ややかなアイリの声だ。
腕を組んで壁にもたれ、疲れた様子で彼女はカナに向かって呟いていた。
やや長めの沈黙。遠くの方でパレード中の馬車に声をかける街の者の声だけが響いていた。その中にはもう崇める人はいないというのに、だ。
「だ、だからこの杖で」
「残り一回だろ。帰る方法が無くなるぞ」
まったくその通り。リョウに言われずとも理解はしていた。だからこそ返答に詰まったのだ。
「ううううう」
つうこんの一撃。逃げ出そうとしたが回り囲まれてしまった、といわんばかりの展開だ。
背後で聞こえてくる魔法国の住民の声を恨めしく思い、地面とにらめっこする。が、ふとそこで思いついたように顔をあげて、ようやく正気にもどった幼馴染みにつかみかかった。